その6
知ってる?
ひとりで抱えないための
【産後ケア事業】

出産を終えて赤ちゃんとの生活が始まると、うれしさと同時に、思っていた以上の疲れや戸惑いを感じることがあります。昼夜を問わない授乳や抱っこ、慣れないお世話が続く中で、「ちゃんと休めていない」「誰かに頼りたいけれど、迷ってしまう」——そんな気持ちになることも、決して珍しいことではありません。
そんな産後の時期に利用できるのが、産後ケア事業です。産後ケア事業は、出産後のお母さんと赤ちゃんが、安心して心身を休めながら過ごせるよう、自治体が実施している公的な支援制度です。助産師や看護師などの専門職のサポートを受けながら、育児の相談をしたり、体を休めたりすることができます。
産後ケアには、いくつかの利用形態があります。たとえば、施設に宿泊して数日間過ごす「宿泊型」、日中だけ施設を利用する「デイケア型」、自宅に支援者が訪問する「訪問型」など。
地域によって実施内容は異なりますが、家庭の状況や体調に合わせて選べるよう、少しずつ整備が進んでいます。
「産後ケアは、特別に大変な人だけが使うもの」と思われがちですが、実際にはそうではありません。実際に利用した人からは、「赤ちゃんのお世話を横で見てもらいながら、授乳の姿勢や抱っこの仕方を教えてもらえた」「夜にまとまって眠れたのは、産後初めてだった」といった声も聞かれます。また、「家に帰ってからの生活を考えながら、一日の過ごし方を一緒に整理してもらえた」「不安でいっぱいだった気持ちを、専門職の人にそのまま話せたことで、少し肩の力が抜けた」というように、体だけでなく心の面で支えられたと感じる人も少なくありません。里帰り出産ができなかった場合や、身近に頼れる人がいない場合はもちろん、「初めての育児で不安が大きい」「少しでも休む時間がほしい」といった理由でも利用できます。赤ちゃんのお世話について相談したり、授乳や沐浴のアドバイスを受けたりすることもでき、“ひとりで頑張り続けなくていい”ことを、制度として支えてくれる存在です。
利用の流れは、おおまかに次のようになります。まずは、市区町村の子育て支援課や保健センターなどの窓口に相談します。出産時期や体調、家族の状況などを伝えると、利用できるサービスや施設について案内してもらえます。自治体によっては、事前の申請や面談が必要な場合もあるため、妊娠中や退院後の早い段階で一度相談しておくと安心です。費用は世帯の所得や利用形態によって異なりますが、自己負担を抑えた形で利用できるよう配慮されています。生活保護世帯や住民税非課税世帯では、負担が軽減または無料になる場合もあります。詳細は自治体ごとに異なるため、利用前に確認しておくと安心です。
産後の時期は、体の回復だけでなく、心のケアも大切な時期です。眠れない日が続いたり、不安な気持ちが強くなったりすることもありますが、それは決して弱さではありません。
産後ケア事業は、そうした変化を「よくあること」として受け止め、支えてくれる制度です。「誰かに頼ること」に迷いがあるときこそ、制度の存在を思い出してみてください。産後ケア事業は、赤ちゃんのためだけでなく、お母さん自身が安心して過ごすための支援でもあります。無理を重ねる前に、地域の支援につながることが、これからの子育てを続けていく力につながっていきます。
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