振袖のサイズはどう選ぶ?自分にぴったりの振袖の探し方
成人式で振袖を着用する方も多いですが、その際に悩むのが振袖選びです。好きな色柄だけで選んでしまうと、実際に着用した際に「自分の肌の色や雰囲気に似合わなかった」などという声も多く聞かれます。
また、サイズ選びに関して疑問がある方も多いのではないでしょうか。近年では、着物を着用する機会もそう多くはないため、着物や振袖のサイズについて理解が乏しいという方も少なくありません。
そこでこの記事では、振袖のサイズと、ぴったりのサイズを選ぶために注意したいポイントを解説します。成人式は人生における大切なイベントです。サイズの合わない振袖を選んでしまうと、後々後悔することにもなりかねません。自分にぴったりサイズの振袖を選ぶポイントを理解して、納得の振袖で成人式を迎えましょう。
振袖のサイズって?サイズ表記の見方
現代的なライフスタイルでは、着物を着用する機会はそうありません。そのため、自分で着物を選ぶ経験は成人式が初めてという方がほとんどでしょう。後悔しない振袖選びをするためには、振袖のサイズについて正確な情報を知っておきたいものです。まずは、振袖のサイズについて基本情報を見ていきましょう。
振袖のサイズは洋服のサイズと異なる
洋服に使われているサイズは、服のサイズではなく着る人の体のサイズです。これを「ヌード寸法」といいます。バスト、ウエスト、ヒップなどのヌード寸法を基準にサイズ分けされており、S・M・Lや5号・7号・9号といった表記で区別されるのが一般的です。
一方、振袖のサイズは、人の体のサイズではなく振袖そのもののサイズで区別されます。お仕立ての場合には、ヌード寸法を計測した後、振袖のサイズが計算される段取りです。レンタルの場合には、細かく振袖のサイズが表記されているケースと、対応するヌード寸法が表記されているケースとがあります。
振袖のサイズ表記の見方
振袖のサイズ表記には、着物独特の言葉が使われていることも少なくありません。それぞれどのような意味があるのかが分かっていれば、振袖選びに迷うことはないでしょう。以下に振袖のサイズ表記に明記されている言葉の意味をまとめました。
振袖のサイズ表記 | 意味 |
着丈(きたけ) | 着物を着付けた際の長さ |
身丈(みたけ) | 首を包む「肩山」から足首にかかる「裾」までの長さ |
裄丈(ゆきたけ) | 背中の中心である「背縫い」から袖口までの長さ |
袖丈(そでたけ) | 袖の一番上の部分である「袖山」から一番下の部分である「たもと」までの長さ |
前幅(まえはば) | 着物の前みごろの裾(すそ)の幅 |
後幅(うしろはば) | 着物の後みごろの裾(すそ)の幅 |
上記のような表記ではなく、S・M・Lなど大まかにサイズ分けされていることもあります。その場合には、身長で分けられていることがほとんどです。お店によって細かなサイズ区分は異なりますので、自分の身長に当てはまるサイズを見つけましょう。
多少のサイズ違いは着付けでカバー
着物は多少のサイズ違いを着付けで調整するデザインになっていることが一般的です。「おはしょり」がその一例でしょう。
着物の長さである身丈は着付けた際の長さである着丈よりも長くなっています。余った部分を胴部でたくし上げ、帯の下部に折り返しが見えるように着付けますが、これがおはしょりです。おはしょりで長さを調整できるため、自分のサイズよりも少し長い、または少し短い着物であってもきちんと着こなせます。
前幅や後幅の長さが足りない場合の調整に使えるのが、「おくみ(衽)」と呼ばれるパーツです。おくみのおかげで、ヌードサイズが大きく違わない場合には、ママ振袖や姉振袖も問題なく使用できます。
サイズが合わない振袖のデメリット
なお、着付けだけではカバーできないサイズ違いもあります。そのひとつが袖丈です。袖丈は腕から下方へ垂れる袖の長さのことですが、これは着付けではごまかせません。適正な長さよりも袖丈が長ければ、腕を下げたときに袖を引きずる可能性があります。
また、「背縫い」から袖口までの長さである裄丈が短過ぎたり長過ぎたりすると、借り物感が出てしまい、スマートに着こなせません。
おはしょりやおくみで調整できる部分に関しても、注意が必要です。自分のサイズと振袖のサイズとの差があまりに大きい場合には、おはしょりやおくみでもカバーするのは難しいこともあるでしょう。
サイズがやや大きい、または小さい振袖を選びたいという場合には、細かなサイズをきちんと確認して、着付けでカバーできる許容範囲かどうかを判断しましょう。
振袖選びで重要なサイズは3種類
振袖は着付けによって多少の調整が効きます。大切なのは、身丈、裄丈、袖丈です。このサイズさえ自分に合っていれば、ぴったり感のある着こなしができます。レンタルの場合に、身丈・裄丈・袖丈が表記されている場合もありますので、それぞれのサイズ感と重要性を理解しておきましょう。
1.身丈(みたけ)
身丈(みたけ)は、肩山から裾までの着物の長さです。着付けた際に帯の下に見える「おはしょり」の長さも計算されています。多少のサイズ違いは着付けでうまくカバーできますが、あまりにも短過ぎるとおはしょりが取れずきれいに着こなせないため、しっかりチェックしておきたい部分です。
身丈と間違いやすいサイズ表記に「着丈」があります。着丈は着付けた後の着物の長さです。身丈よりも短いため、ここを間違えると大きなサイズ違いになってしまいます。レンタルなどでサイズを確認する場合には、記載されている表記が「身丈」なのか「着丈」なのかをきちんと確認するようにしましょう。
2.裄丈(ゆきたけ)
裄丈(ゆきたけ)は、背縫いから袖口までの長さのことです。腕の長さが長い方は、裄丈も長くなります。袖口は手のくるぶしが隠れるくらいがよいとされており、計測する場合には腕を斜め45度くらいに上げるのが一般的です。このとき、ひじが曲がらないように注意しましょう。
レンタルの場合には、平均的な腕の長さで計算されています。腕が長い、または短いという方は試着して確認するとよいでしょう。
3.袖丈(そでたけ)
振袖はそもそも袖が長い着物のことで、袖丈の長さが魅力のひとつです。振袖は袖丈によって3つのタイプに分けられます。最も長いのが大振袖で、結婚式の花嫁衣裳にも使われます。身長の高い方は大振袖を成人式に着るケースも少なくありません。
成人式で一般的に着用されるのは、次に袖丈が長い中振袖です。パーティーや結婚式のお呼ばれなど、喜ばしい席でも着用されます。袖丈が最も短い小振袖は動きやすいため、ちょっとしたパーティーや観劇などにぴったりです。卒業式などで袴と合わせて着用されることもよくあるでしょう。
振袖のタイプ | 大振袖 | 中振袖 | 小振袖 |
袖丈の長さ | 114cm前後 | 100cm前後 | 85cm前後 |
振袖のサイズ計測時のポイント
お仕立てやレンタル振袖の試着時には、プロが計測してくれるため、心配はいりません。しかし、自分のサイズと表記サイズを比較するため、自分のサイズを把握しておきたいという方もいることでしょう。
ここではサイズを計測する場合のコツを解説します。振袖のサイズを計測する場合には、ひとりではなく、誰かに手伝ってもらう必要があります。
身丈は身長+5cmを目安にしよう
身丈は身長+5cmで計算するとよいといわれています。これは、着丈におはしょりをプラスした長さです。ただし、ふくよかな方は着付けた場合に丈が少し上がってしまうこともあるため、8cm~10cmほどプラスするとよいでしょう。身丈は短過ぎると着付けでカバーできない可能性がありますので、やや長めにしておくと安心です。
裄丈は腕を上げて計測しよう
裄丈は、首裏の付け根から腕の付け根までの長さと、腕の付け根から袖口までの長さを足したものです。計測する場合には、腕を斜め45度に上げて計測しましょう。
まずは、メジャーを背中と首の境目にある骨の突起(けいつい点)から肩の真上を通って腕の付け根まで伸ばします。腕の付け根にメジャーを押し付けたまま、そこからくるぶしまで伸ばした数値が裄丈です。
ヒップは幅が一番大きい部分を計測しよう
前幅と後幅はヒップサイズから割り出します。お仕立てやお直し以外で前幅や後幅のサイズが必要になることはほとんどありません。前幅や後幅のサイズ計測はプロに任せたほうが安心です。
計測する場合には、ヒップの一番大きいところをメジャーで測ります。ふくよかな方や椅子に座るなどの動きのあるシーンでの着用が予想されるケースでは、前幅や後幅をやや広めに取るのが一般的です。
ぴったりサイズの振袖を選ぶための注意点
振袖選びは人生における一大イベントでもあります。成人式では、自分にぴったりの振袖で人生の節目を彩りたいものです。サイズを間違ってしまうと、後々まで後悔することにもなりかねません。ここではぴったりサイズの振袖を選ぶ上で注意しておきたいポイントを解説します。
細かなサイズはお店によって異なる
レンタルや標準サイズでの仕立ての場合には、S・M・L・LLといったサイズ表記が使われています。しかし、細かなサイズはお店によって異なることを覚えておきましょう。
身丈は身長から計算できるため、対応サイズとしてヌード寸法の身長が記載されていることがほとんどです。「身丈はMサイズだけど、裄丈はLサイズ」というような場合には、Lサイズの振袖を着付けでうまく調整するといった対応になるかもしれません。お店の方にも相談しながら、自分に合った着物を選びましょう。
通販やネットオークションは要注意
通販やオンラインショップでの購入やレンタル、ネットオークション利用など、試着ができない場合には注意が必要です。多少のサイズ違いは着付けでカバーできるとはいえ、あまりにも大き過ぎる・小さ過ぎるでは、美しく着こなせません。
サイズ表記はしっかりと確認し、交換する場合には「できるだけ早く」が鉄則です。遅くなると気に入った柄のものを諦めなければならなくなることもあります。
ネットオークションの際には、さらなる注意が必要です。詳細なサイズ確認は必須ですが、着物のことをあまり知らない人が計測して表記することもあるため、疑問に感じる場合には細かく質問してみましょう。
振袖は成人式を彩る大切なアイテムであるため、購入やレンタルの場合には、最終契約の前に一度試着できるお店の利用がベストです。
サイズ計測は自分でやらない
バストやウエスト、ヒップなどのヌードサイズ計測を自分で行う方も少なくありません。しかし、振袖のサイズ計測は自分ではなく、誰かにお願いしましょう。できれば着物の専門知識をもっている方がベストです。
振袖のサイズ表記は着物そのもののサイズとなるため、体形に合わせて数字を調整することが必要です。バストやおなか回りが大き目の方であれば身丈を標準よりも長く計算したり、二の腕や背中に肉付きのよい人であれば裄丈を長めにしたり、といった具合です。まったくの素人では、なかなかぴったりのサイズには行き着けません。
ママ振袖のサイズ違いはお直しで調整可能
最近はママがかつて成人式で着た振袖「ママ振袖」を成人式で着用するケースが増えています。ママの時代の振袖は高品質のものが多く、コーディネートを工夫することで今風のアレンジも可能です。
若かりしころのママと同じような体形であれば、着付けのテクニックでサイズ調整も可能でしょう。しかし、サイズが大きく異なる場合には、「寸法直し」が必要です。「寸法直し」とは、身丈・裄丈・袖丈などを部分的にお直しすることで、相場は約8,000円~です。
さらに大きなサイズ変更を施す場合には、いったんすべてを解いて振袖を仕立て直す「仕立て直し」をしなければなりません。費用は3万円~7万円ほどかかる場合もあります。
寸法直しや仕立て直しには時間がかかるため、ママ振袖を成人式で利用する場合には十分前もって試着し、サイズ直しが必要かどうかを判断するようにしましょう。
振袖小物のサイズも確認しよう
サイズ感ぴったりの振袖姿にするためには、振袖以外の小物のサイズも確認しておくことが必要です。以下の表を参考に、小物のチェックもしてみましょう。
長襦袢 | ・標準はくるぶしまでの長さ |
足袋 | ・親指の先端からかかとまでの最長を測り、それよりも5mm大きいサイズを選ぶと良い |
草履 | ・草履はS~LLといったサイズ表記のあるものと、フリーサイズのものとがある |
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